金将が王将さまに打ち歩詰め(うちふづめ)のお話をします。

金将 : 「王将さま,こんどは禁じ手のお話をします。」

王将 : 「何?禁じ手(きんじて)じゃと??」

王将 : 「話してみよ。」

金将 : 「将棋(しょうぎ)には,してはいけないことがあります。

王将 : 「なに・・してはいけないこと・・・・・。」

金将 : 「はい。してはいけないことを禁じ手(きんじて)といいます。」

王将 : 「では,禁じ手(きんじて)とはどんなものじゃ?」

金将 : 「いま,金将(きん)と歩兵(ふ)をもっているとします。」

金将 : 「王将さま,どちらかの駒(こま)をつかって,詰ませて下さい。」

王将さまの駒(こま)

王将 : 「詰ませるのじゃな!!」

王将 : 「金将(きん)はもったいない気がするの~!」

王将 : 「歩兵(ふ)をつかって,こうじゃ!!」

王将さまの駒(こま)

金将 : 「よろしいですか?王将さま。」

王将 : 「よいぞ!!」

金将 : 「このように歩兵(ふ)を打って詰ませることを,」

金将 : 「打ち歩詰め(うちふづめ)といいますが,」

金将 : 「この打ち歩詰め(うちふづめ)禁じ手(きんじて)です。」

王将 : 「なに!!打ち歩詰め禁じ手になるのか!?」

金将 : 「はい,そのとおりでございます,王将さま。」

王将 : 「ならば,こうしなければならぬな!!」

王将さまの駒(こま)

こうして,将国(しょうこく)と棋国(きこく)の金将は,2人の王様に

打ち歩詰め(うちふづめ)のお話をしました。


金将が王将さまに二歩(にふ)のお話をしました。

金将 : 「王将さま,こんどは二歩のお話をします。」

王将 : 「何?二歩(にふ)じゃと??」

王将 : 「話してみよ。」

金将 : 「さきほど,禁じ手(きんじて)のお話をしましたが・・・」

王将 : 「ウム,打ち歩詰め(うちふづめ)の話じゃった。」

金将 : 「二歩(にふ)も,禁じ手(きんじて)になります。」

王将 : 「ほう,二歩(にふ)とはどんなものじゃ?」

金将 : 「いま,金将(きん)と歩兵(ふ)をもっているとします。」

金将 : 「王将さま,どちらかの駒(こま)をつかって,詰ませて下さい。」

王将さまの駒(こま)

王将 : 「詰ませるのじゃな!!」

王将 : 「打ち歩詰め(うちふづめ)はダメじゃったから・・・」

王将 : 「歩兵(ふ)をつかって,こうじゃ!!」

王将さまの駒(こま)

王将 : 「玉将が下にさがるから,金将(きん)を打てば詰みじゃ!」

王将 : 「どうじゃ,金将!!詰んだぞ!!!」

金将 : 「おお,そのとおりです,といいたいところでございますが・・・」

王将 : 「なに?わしがまちがっておるのか!?」

金将 : 「王将さま,金将(きん)の下をみてください。」

王将 : 「金将(きん)の下か!?」

金将 : 「2の列(れつ)に,歩兵(ふ)がならんでおります。」

王将 : 「おお~!たしかにそうじゃ,ならんでおる!」

金将 : 「これが,二歩(にふ)でございます。」

王将 : 「これが,二歩(にふ)というものか!?」

金将 : 「二歩(にふ)は,禁じ手(きんじて)でございます。」

王将 : 「禁じ手(きんじて)をすると,どうなるのじゃ?」

金将 : 「駒(こま)から手をはなすと,負け(まけ)になります。」

王将さまの駒(こま) ありません

王将 : 「負け(まけ)になるのか?」

金将 : 「そうでございます。」

王将 : 「では,これでは詰まぬじゃないか,金将よ!!」

金将 : 「はい,そのとおりでございます,王将さま。」

王将 : 「ムム~,ワシをバカにしおって!」

金将 : 「いえ,二歩(にふ)をわかってもらうためでした。」

王将 : 「なるほど,ワシに二歩(にふ)をおしえたのじゃな!」

金将 : 「さようでございます,王将さま。」

こうして,将国(しょうこく)と棋国(きこく)の金将は,2人の王様に

二歩(にふ)のお話をしました。

王将さまと玉将さまは,ますます将棋が好きになりました。

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